こんにちは。税理士の川里です。
第11回目のコラムも前回に引き続き「節税のポイント」を書いていきます。
- ⑥ 適正な役員報酬の決定
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法人を設立した場合、お金は法人のものであり、社長個人が自由に法人からお金を引き出すことはできません。
会社のお金は会社のお金であり社長のお金ではありません。その代わりに社長は役員報酬を会社から毎月貰うことになります。
ただこの役員報酬は一度決めると一年間は原則的には変更することできません
(変更することはできますが経費にならない部分が出てきてしまいます)。そのため法人を設立する場合、自分の役員報酬をいくらにするかを検討する必要があります。
自分は毎月40万円もあれば生活できるということで40万円と決めたとすると年収480万円になり、
この480万円が会社の経費になります。
ただこれは税金を度外視した場合です。少し税金について考えてみましょう。
法人の課税所得は、役員報酬控除前法人利益から役員報酬を控除したものです。
また社長の税金は役員報酬から給与所得控除額と所得控除を引くと個人の課税所得が算出できます。
ここで重要なのが、税率構造の違いです。
法人の税率(実効税率)は約25%と仮定します。
そして個人の所得税の税率は、累進をとっています。
現行の税制で住民税まで考慮すると、
個人の課税所得695万円超900万円以下の23%のラインまでが法人税率と同じラインです。
これ以上になると法人に留保しておいた方が税金の負担が少なくなるケースがでてきます。
ではこの役員報酬は年収で表すと所得控除の金額によっても異なりますが、年収で900万円から1200万円くらいまでかなと思います。
是非一度計算してみてはいかがでしょうか。
- ⑦ 退職金課税制度
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退職金課税制度は節税ツールでかなり優遇されています。
算式は、(退職金 ― 控除額)×1/2×税率です。
■控除額
勤続年数20年以下 40万円×勤続年数
勤続年数20年超 70万円×(勤続年数 - 20年)+800万円
最大のポイントは、退職金は半額だけ課税されるということです。
老後の資金も考え、この点が優遇されている点です。
そしてこの退職金ですが、生命保険を活用するのも一つの方法です。
生命保険は全額損金タイプ、半分損金タイプなど様々なタイプの保険がありますので、
退職金を貰う年齢を何年先に設定するかにより保険を選択するようにしてください。
いかがだったでしょうか?
ご不明な点がございましたらご連絡を頂ければと思います。
税理士 川里隆之