こんにちは。税理士の川里です。
第9回目のコラムは「節税のポイント」を書いていきます。
会社を経営して利益が生じた場合には、法人税等がかかります。
ただ必要な税金は支払う必要がありますが、節税できる部分はもちろん払う必要がありませんので、
今回は知っておいて損はしない節税の知識を書いていきます。
まず節税と言ってもさまざまな種類がありますが、次の2つに分類できます。
- 1.現金の支払いあり
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節税をするためには基本的にはお金を使う必要があります。
単純に考えれば、お金を払ったからその分経費となり利益が減るということになります。
そのため、節税=現金の支払いありということになります。しかし、現金の支払いがなくとも節税をする手法もあります。
現金の支払いがある節税は、その後の資金繰りに影響を与えますので実際に行うかどうかを慎重に検討する必要があります。
しかし、現金の支払いのない節税については積極的に活用すべきです。
なお節税したいばかりに闇雲に消耗品などを購入するのは、税金を支払うより多額の現金を費やしていることになりますので止めておきましょう。 - 2.永久型と繰延型
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繰延型は本来支払うべき税金を来年以降に先延ばしにするものであり、永久型は払う必要がなくなるというものです。
永久型はもちろん活用しましょう。
繰延型についてはさまざまな事象を勘案して決定しなければなりません。
基本的に節税は現金流失を伴うものですから、少々の節税するために多額を支払うような場合には資金繰りが上手くいかなくなる可能性があります。
慎重に検討しましょう。
1. 「現金の支払いあり」の節約方法
では具体的にまずは現金の支払いがある節税方法を書いていきます。
- ① 消耗品の購入
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30万円以上の消耗品を購入した場合は減価償却資産として毎年分割されて経費になっていきます。
また、30万円未満の消耗品を購入した場合は青色申告法人であれば全額経費になります。
ただ、ここで注意して頂きたいのは、100万円の利益が出ている場合30万円未満の消耗品を100万円分購入すれば
利益はゼロになり税金を払う必要はありません。
しかし、仮に100万円の利益であれば税金は30万円程度、差額の70万円は手許に残るわけです。
ところが利益をゼロにするためには100万円の消耗品を購入すれば確かに利益はゼロになり、税金の支払いは免れますが、
手許には1円も残らないことになります。この点は注意して頂きたい点です。
- ② 生命保険
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現金の支払いがあり繰延型の典型例が生命保険の活用です。
生命保険は節税として活用することができます。
ただ生命保険の税務上の取り扱いは複雑ですので、概要だけ書いていきます。まず生命保険を活用しての節税は、法人しか活用できません。
保険料を払った時には経費にし、解約した時は解約返戻金が利益になります。
保険は経営者に万が一のことがあった場合、法人の運転資金を賄うための準備とされていますが、節税商品としても活用されます。退職金課税制度と同時に活用すると相当な節税効果が期待できます。
退職金課税制度については後述します。
- ③ 短期前払費用
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利益が出すぎてしまった時、向こう1年間に支払うべき費用を前払いしてしまえばその金額は経費になります。
これを短期前払費用と言います。例えば、地代家賃、保険料、支払利息などを1年分一括して払うことによって
本来は翌年の経費になるべき金額を先払いする形で今年の経費にしてしまうわけです。
ただし、この制度を一度使ってしまうと翌年度以降も同様に1年分を前払いすることが必要となるため、
来年以降の資金繰りの状況をよく考える必要があります。
いかがだったでしょうか?ご不明な点がございましたらご連絡を頂ければと思います。
税理士 川里隆之