こんにちは。税理士の川里です。
第5回目のコラムは経費と減価償却のポイントについて書いていきます。
まずは経費のポイントです。
経費のポイント
「経費ってどんなものまで認められるのですか?」という質問をよく受けますので、
経費の考え方のベースとなるものをまずはお伝えしようと思います。
3点あります。
1 自分の仕事に関係あるものか
2 常識的か
3 これは経費ですと胸を張って言えるか
の3点です。
この3点を満たせば経費と言えるでしょう。
まずはこれがベースとなります。
以下では、個別に見ていきましょう。
- 1.「上様」の領収書でもらった場合は経費になりますか?
-
残念ながら税務上のルールとしては経費にはなりません。
ただ、実際、名前が上様の領収書は多く目にします。
それは、おそらく領収書を発行する側又はもらう側双方の意識がまだ薄いからではないでしょうか。
そのため、上様の領収書を全部経費として認めないということになれば、結構パニックになります笑。
ただ、私はしっかり名前を書いてもらうべきだと思います。
しっかり書いてもらえば、発行する側又はもらう側の双方にとってこのような問題を残さずに済みます。
しっかりと領収書には名前を書いてもらいましょう。 - 2.領収書を紛失した場合、もらっていない場合は?
- 領収書を紛失又はもらっていない場合ですが、
紛失した場合は原則的には経費となりませんが、再発行などで対処するしかないです。
また、もらっていない場合、例えば電車などの交通機関を利用した場合ですが、
こちらは経路などをメモして出金伝票に書いておいてください。
香典や祝い金も同じようにして頂ければと思います。 - 3.振込の場合の領収書は?
- 振込の場合は領収書をもらう必要があるの?という質問を受けますが、
通帳に記録が残っているので領収書をもらわなくても問題ないです。
もし発行を依頼された時は、発行する必要がありますので、この点はお伝えしておきます。 - 4.会社名義でない契約は経費になりますか?
- こちらは経費になります。
理由としては、契約名義ではなく、実質的にきちんと会社の業務で使用しているかどうかが
重要視されるからです。
逆に言えば、個人契約のものでも業務のしようであれば経費になるということになります。
ただ、なるべくは会社の名義にできるものは契約を変更しておいた方が宜しいかと思います。 - 5.出張した場合
- 節税対策として、旅費規程を作った方が良いというお話を聞いたことがあるかと思います。
例えば、旅費規程を作った場合、
日当は1回の出張で10,000円の出張手当を払った場合、会社は10,000円が経費になります。
出張手当をもらった個人は、この10,000円は非課税(税金がかからない)になります。
もちろん、出張先が日本又は海外である場合や役職によってもこの日当の金額は、異なりますが、
非課税に変わりありません。
また、出張に付随する宿泊代や旅費ですが、こちらも旅費規程の中で、一律の金額とすることができます。
ただ、出張先などが異なることにより金額設定はなかなか苦労するかと思いますので、
この部分は実費精算でも良いかと思います。
続きまして減価償却のポイントです。
減価償却のポイント
資産を購入した場合、購入金額によって取り扱いが大きく変わってきます。
以下ではその点について触れていきます。
- 1.10万円未満の資産
- パソコンなどを10万円未満で購入した場合、全額経費にすることができます。
なお、この10万円未満かどうかの判定は、税込経理をしていれば、税込で10万円未満かどうか、
税抜経理をしていれば、税抜で10万円未満かどうかを判定することになります。 - 2.10万円以上20万円未満の資産
- こちらは、一括償却資産と言われます。
3年に渡り三分の一にずつ経費になります。
例えば、18万円で購入した机は1年目6万円、2年目6万円、3年目6万円というように3年間に分けて経費になります。 - 3.10万円以上30万円未満の資産
- 10万円以上30万円未満の資産は、青色申告をしていると年間300万円まで全額経費とすることができます。
要するに青色申告をしていると30万円未満の資産は
年間300万円まで経費とすることができるということになります。 - 4.30万円以上の資産
- 30万円以上の資産については、複数年に渡り経費としていきます。これを減価償却といいます。
- 5.減価償却の方法
- 減価償却の方法は定額法と定率法があります。
法人の場合、原則的には定率法が適用されます。
また、資産は、資産ごとに法定耐用年数が定められており、
短いもので2年、長いもので50年のものがあり、その期間に渡り経費となります。
国税庁のホームページに減価償却資産の法定耐用年数表がありますので、ご覧になってみてください。 - 6.中古の場合
- 中古の資産を購入した場合は、新品の場合の計算とは異なります。
例えば中古の車を買ったとします。車の法定耐用年数を6年とします。① 6年以上使用している車を購入した場合
耐用年数は、6年×20%=1.2年→2年となります。
② 3年使用している車を購入した場合
耐用年数は、6年-3年×80%=3.6年→3年となります。
よく高級車を買った節税方法が紹介されています。
一部ご紹介しますが、それは、6年以上経過している高級車を購入します。
上記でも書きましたが、6年以上経過している車の耐用年数は2年です。
要するに2年で経費にすることができますよね。このことを言っています。
いかがだったでしょうか。
今回は、経費と減価償却のポイントを見てきました。
もしご不明な点がございましたら、お気軽にお尋ねくださいね。
税理士 川里隆之