こんにちは。税理士の川里です。
第4回目のコラムは前回に引き続き知っておきたい税金のポイントを書いていきます。
5 役員報酬のポイント
皆様もご存じかと思いますが、役員報酬は役員に対する給与です。
この役員報酬はもちろん高く設定すれば、会社の費用になりますので、会社の利益は減ります。
また役員報酬を低く設定すれば、会社の利益は残ります。
要するに、役員報酬の設定金額により会社の利益は調整出来てしまいます。
ただ、役員報酬を高く設定した場合、個人の所得になりますので、
個人の所得税と住民税は必然的に納税額は増えますのでこの点要注意です。
以下では役員報酬についてもう少し詳しく見ていきたいと思います。
- ① 役員報酬は定期同額!?
- 定期同額って何だろう?と思いの方もいらっしゃるかと思います。
定期同額とは、
毎月同じ日に、25日や30日に同じ金額を会社が儲かろうとなかろうと関係なく支給する必要がある
ということです。
ではなぜか?役員報酬は役員の給与ですので、役員の一存で決定することができます。
もしこれを認めたら利益調整が可能となり、法人税の支払いを免れることができます。
要するに利益調整を禁じているのです。 - ② 役員賞与
- 賞与ってボーナスのことです。
この賞与は、会社が儲かったから役員に賞与を支払うことはもちろん可能ですが、ただ経費にはなりません。
経費にならない??とはどういうこと??
つまり税金の計算上利益を減らすことができないのです。
ややこしいですが、先ほどの定期同額の箇所でも書きましたが、利益調整をさせないためです。
ですので、役員賞与の支給は、良くお考えになって支給して頂ければと思います。 - ③ 役員報酬の改定時期
- 役員報酬が定期同額でなければならないことは書きましたが、ではいつ変更できるのか?
という疑問が出てくるかと思います。
変更のタイミングは決算日から三か月以内に一度だけ変更することができます。
年に一度です。
慎重に決めて頂ければと思います。
6 法人税等を支払わない方法
法人税等は会社の利益が出たら支払う税金です。
(赤字でも法人の場合は均等割7万円の支払いは出てきます。)
でも先ほどの役員報酬を上手く設定すれば法人税等は発生しません。
例えばこんな感じです。
一年間の予想売上-予想諸経費=一年間分の役員報酬
こんな予想が立てられたら会社の利益はゼロになりますので、
法人税等は発生しないことになります。
ただし、役員報酬は個人の所得になりますので、所得税や住民税は発生します。
役員報酬の金額にもよりますが、法人と個人の税負担を比較して実行して頂ければと思います。
7 会社を大きくしたい場合
先ほど法人税等を役員報酬の設定でゼロにできると書きました。
ただ、もし、会社を大きくしたい、成長させたい、事業を拡大させたいと目標がある社長は
利益ゼロでは会社を大きくすることができません。
例えば、利益ゼロで法人税等ゼロとした場合、資本金100万円で設立した会社のお金を考えて見ましょう。
資本金100万円±0利益=100万円
手元のお金は元の資本金100万円のままですよね。
利益がゼロなので、お金は増えないです。
一方、同じように資本金100万円で設立し、利益を100万円出した場合を見てみましょう。
資本金100万円+利益100万円-30万円=170万円
税金は利益100万円に対して約30%ですので資本金を足すと170万円が手元資金になります。
これを5年10年と続けた場合、手元資金に差が出ることになります。
また、この170万円を元手に事業を拡大することもできますし、
金融機関に「当社は利益を出しているので、返済能力はあります。貸してください。」と言って借入をし、
さらに事業を拡大することができます。
ここでのポイントは会社を大きくしようとした場合必ず税金の支払いは発生するということです。
そのため、いつも利益がゼロで法人税等がゼロの会社は成長することは決してできません。
これらの点を理解してもらいご自身の目的に合った経営を行っていきましょう。
もしご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください!
税理士 川里隆之